刑事事件2

犯罪を犯した人の中には,起訴は絶対に避けたい人がいますね。例えば,執行猶予付き判決をもらっている人で執行猶予中にまた犯罪をした人,判決の内容によっては仕事を失う人(弁護士もそうです),などです。

そういう人は,早く被害者の方に示談をしてもらって犯罪を許してもらい,検察官が「起訴まではしないでおこうか。」と不起訴の判断をしてもらったり,処分保留で釈放してもらう必要があります。

ところが,物事はなかなか簡単にはいきません。

そもそも被害者情報が秘匿されている場合に,捜査機関を通じて被害者と示談の話をしたいと言ってもなかなか被害者とつながらなかったり,被害者とお話しができても,示談に応じてもらえなかったりすることが多いです。

万引き事案では,「お金払えばすぐ片が付くだろう。」と思っていらっしゃる方が多いかも知れませんが,甘いです。最近の私の感覚では,一切示談に応じないという社内規定をもって万引き犯に厳格な対応をしている店が増えているように思います。

そういう厳格なお店ですと,もはやお金をいくら積んでも起訴は免れません。

また,そもそも被害者のいない犯罪といわれている犯罪(覚せい剤とか)では,示談という概念もありませんので,お金がいくらあってもどうしようもないです。

弁護士としては精一杯,不起訴を勝ち取る努力をしますが,現実は逮捕勾留→起訴という流れはなかなか変えられないものです。

以上の話しは,犯罪者サイドの利益からみた,ある意味利己的な話ではありますが,それでも大変なリスクです。後悔先に立たずです。

(榎本)