弁護士がうらまれる件

刑事事件から少し離れます。

昨年(平成22年)中,弁護士が事件の相手方から殺されるという件が2件も起きました。このほかにも,事件の相手方が弁護士に危害が加えるような業務妨害が多々起きているものと思います。誠に遺憾なことです。

弁護士は,依頼者の法的な利益を最大限確保するよう努力します。

そのため,相手方から見れば,自分の利益を侵害されているように感じるでしょう。

特に感情の対立の激しい離婚事件で多いと思いますが,夫と妻だけの話し合いであればうまく丸め込むことができたのに,弁護士が介入した途端に,婚姻費用だ慰謝料だ財産分与だとみるみる財産を持って行かれる,思い通りに離婚もできない,という事態になり,「あの弁護士さえ介入しなければこんなことにならなかったのに。」と思って憎しみの炎を弁護士に向ける人が出てくるわけです。

しかし,その介入した弁護士が特に不当,不公平な手段で物事を進めているわけではなく,どの弁護士が介入しても同じような手順を踏んで,おおむね同じような結果になります。

ですから,その弁護士が悪い訳でもなんでもなく,弁護士に恨みを持つのは全くの筋違いなわけです。

もし皆様自身が関わっている事件の雲行きが思わしくなければ,特に向こうさんに弁護士が付いてから思い通りにならないというのであれば,自分自身が弁護士を依頼して法的な解決結果の見込みを知り,法的な手段を尽くすべきです。暴力的言動に訴える人間は,自分自身に正義がないことを自ら認めるようなものです。

(榎本)