貸金業法改正

貸金業法は,貸金業を営む者を規制する法律ですが,昨今の多重債務問題が社会問題化するに伴って改正を加えられ,今年平成22年6月からは,一般市民にも大いに関係する次のような改正が実施されます。

①貸金業者が個人へ貸し付ける場合には、指定信用情報機関の信用情報を利用した返済能力調査が義務づけられます。

②また、個人への貸付けについて、(1) 自社からの借入残高が50万円超となる貸付け、又は、(2) 総借入残高が100万円超となる貸付け,の  場合には、貸金業者に年収等を証する資料の取得が義務づけられることとなります。

③調査の結果、総借入残高が年収の3分の1を超える貸付けなど、返済能力を超えた貸付けが禁止されます。売却可能な資産がある場合な  ど除外・例外貸付けは除かれます。

④貸金業法上の「みなし弁済」制度(グレーゾーン金利)を廃止し、出資法の上限金利を20%に引下げます。これを超える場合は刑事罰の対   象となります。

今まで複数の消費者金融からお金を借りては返すという自転車操業で生活をしていた人が,今後新たな借り入れができなくなる可能性が大きいわけです。それで,「違法な金利のヤミ金に借りざるを得ない人が増える」と批判されているわけです。

しかし,自転車操業をしないと生活ができない状態にあるということは,すでにその人の経済力を超えた借金をしており,完済は不可能な場合がほとんどです。

ですから,今回の法改正は、国家の方針として、「従来どおり自力での解決が不可能な多重債務状態ができても解決を先送りにして多重債務者が莫大な数になるのを許容するのか、それとも借金問題は早々に片付けさせるのか」という選択肢のうち、後者を選んだわけです。

それで、今後,新たな借り入れを消費者金融から断られて現金を得る途を絶たれた,という人は,その時点で返済をあきらめ,債務の整理(破産や再生,任意整理)をしなければなりません。

そのときには,ヤミ金に手を出してやくざやチンピラに追われるか,弁護士に相談して借金から解放されるか,どちらかを決断しましょう。

取るべき結論は明白ですね。まともな弁護士なら,ご自身の資力に配慮して費用を考えますので,安心して相談してください。

(榎本)