歩行者と自動車の交通事故

「歩行者は交通弱者」「歩行者は手厚い保護を受けるべき」と思って,危険を顧みない歩行をする人がいます。

確かに一般的な話しでいうと間違いではないのですが,いざ歩行をしていて自動車にはねられた場合,必ずしも歩行者がいつでも手厚い保護を受ける訳ではありません。

例えば,歩行者が赤信号で横断歩道を渡っていて車にはねられた場合,過失割合は歩行者:車=7:3になります。

また,道路を横断していて車にはねられた場合,歩行者:車=2:7になります。(実際にはさらに具体的事情を加味しますが)

歩行者に過失がある,とされる割合の部分については,損害賠償を受けることができなくなります。例えば,ものすごく単純な話しをすると,歩行者が信号無視をして道路を歩行中にはねられて大けがをし,治療費に100万円かかった場合,歩行者は自腹で70万円を支払わなければならなくなるわけです。(実際には過失が多くても自賠責から支払を受ける分があったりしますので,もう少し歩行者の負担は軽くなりますが)

ですから,歩行者といえども,いつでも守られるべき弱い存在なんだと我がもの顔で道路を歩くのではなく,きちんと交通法規を守り,お互いに譲り合いの気持ちをもって歩行しましょう。

また,歩行者に過失割合が認められる場合,自由診療で治療を受けるととんでもない金額の支払い義務を歩行者が負う可能性があるので,健康保険を利用して治療を受けることを考える必要もあります。

(榎本)